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  • 11/24/18:07

07.27.11:58

ケンタとジュンとカヨちゃんの国~映画~

kenta.jpg若者たちが成長しようとする、自分たちを囲む何かから飛び出そうとする、そうなると、やはりロードムービーになるのだろうか。
長~い道のりでネタバレします。

都会に住んでいたころ、「ここは私の居場所ではない」と、心のどこかで感じていた。
または、周りにひどく迷惑をかけた父をひどく憎んでいたころ、何もできなくなって家から一歩も外に出られなくなった。
その両方とも、私にとって何よりも大切な「私の根っこへの誇り」を見失っていた時期だった。

自分がこの世にうまれた証明、それを誇りに思うこと。
それはどんなにささやかであっても、とても大切なこと。
もしかすると誰もがそんな「誇り」を探し求めて生きているのかな、と思う。

この作品の三人は、自分に対しての誇りが曖昧だ。
幼い頃から施設で暮らし、成人しても自分の足で立てない、立つための自信を失っているケンタとジュン。
多くの男に抱かれることでしか、自分の存在理由を見いだせないカヨちゃん。
彼らは今まで住んでいた場所を壊し、いじめていた男の持ち物を壊し、唯一の肉親に会いに行く。
ただし、その肉親はケンタくんのお兄さん。

ケンタくんとお兄さんが両親を亡くし施設に入ったとき、すでにジュンくんはそこにいた。
その時点で、ケンタくんはジュンくんよりも精神的優位に立っていることが切ない。
ぼくは両親を知っている、お兄ちゃんもいる、でもジュンくんには何もない、と。
しかし、その思いは人を弱くもさせる。
拠り所にしていたものが壊れたとき、同時にその人も壊れてしまうから。
ジュンくんが、周りに馬鹿にされながら、自分のことだけ考えていられるのは、彼が最初から何も持っていないからだ。

俺とおまえは違う、ケンタはジュンくんに何度も言う。
それは彼の誇りを確かめる言葉であると同時に、彼の弱さでもある。
ジュンくんには意味がわからない。
わからないからジュンくんはケンタくんより、本当は強い。

ジュンくんに付きまとうカヨちゃんは、もっと強い。
彼女は自分自身を知っている。
自分の生き方を持っている。
自分が生まれたことを誇らない。
誰かのぬくもりを、常に求めなければ立っていられない生き方だとしても、彼女はそれで立派に立っている。
愛されたい、愛されたい。
愛の意味も知らず、愛の意味を知らない誰かに、その言葉をまるで食べ物やお金のように求めている。
きっとその言葉を聞くことが、彼女の誇り。
そして知らないから、ケンタくんよりジュンくんよりカヨちゃんは強い。

ケンタが二度見た、光はなんだろう?
彼が持つ、「根っこ」から離れた世界への入り口か。
何もかも失ってしまえば楽になるのに失うのは怖い、全て失って生きるには寂しすぎる環境から、自分を解き放つ場所へ導く光。

ジュンくんにはケンタくんしか肉親と呼べる人がいなかった。
肉親じゃないけど、兄弟同様に暮らしてきたから。
そんなケンタくんがお兄さんを失ったことに傷つき、自分を見失っている。
ジュンくんはケンタくんを取り戻したい。
だからケンタくんを銃で撃った。

カヨちゃんの最後の顔。
知らない男の車から叩き出されたのはなぜだろう?
ヒッチハイクで拾われた男に身体を求められ、拒否したか?
それともカヨちゃんから求めて男から拒否された?
どちらにしても(その解釈は重要かも、だけど)カヨちゃんは、また自分だけで立っている。
「私を愛してる?」
その問いにうなずいたジュンくんがいる。
この先、会えるかどうかもわからないけど。


「道」や「イージ・ライダー」や「ノッキンオン・ヘブンズドア」を思い出した。
で、松田翔平も安藤サクラも魅力的だし、内容もこれだけ考えさせられるんだけど、もう少しなんとかならなかったかなぁという印象。
比喩、こんな雰囲気、そういう表現がわかりづらい。
ちょっと投げっぱなしな印象。
最初の三人の独白まではとても良かったのに。
松田翔平の存在感が良いので惜しい。
安藤サクラも、もっと絡ませればよかったのに、と思う。
なんか惜しい作品です。
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