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  • 11/23/18:38

10.01.12:06

キャタピラー ~映画~

今まで観た邦画で一番最低~だと思っていたのは「ひかる源氏物語 千年の恋」だが、キャタピラの前では、この作品はただの馬鹿で、頭が悪く罪がないところがとても可愛らしく思える。
このことだけは自信を持って言えるが、映画にしても人にしても、初めて会うときにはどんな噂を聞いていても会う前から、観る前から決めつけたりはしない。
ただ想像はする。
こんな話じゃないかな、こういう映像が出るんじゃないかな、と。
だから反戦、と聞いていても、そんな感覚は持っていなかった。

「キャタピラー」は、四肢を失っても尚、男性として妻を支配しようとする夫に対して、妻が恐れながら、馬鹿にしながら、自身を貶めながらも関係性をなんとかして作っていこうとする・・・・という話じゃないかな?と想像していた。
が、しかし、全然違っていた。
あくまでも若松監督自身のプロパガンダ映画。
彼自身が持っている第二次大戦やそれ以前の、日本に対する戦争認識のみで作った作品だと思う。
決して「反戦映画」ではない。
色んなところで、「反戦」という言葉が飛び交っているが、この作品のどこを見て反戦なんて言えるんだろう?
この作品に出てきた映像も物語も、これが戦争だ!と、まさに、演出で意図されたものでしかないのに。

この作品に描かれているのは、特定の何かから支配され、間違った方向へ進む集団の愚かしさ。
その象徴としての一組の夫婦がいる。

妻は戦争で四肢を失う以前の夫からは、産まず女!と馬鹿にされながら、身体も心も苦痛の中でセックスをしていた。
四肢を失った夫にも、以前よりもっと精神的苦痛を伴いながらセックス。
妻は、夫に尽くさねばならぬ、という考え方に支配されている。
夫が身体を壊す以前から気持ちは折れているのに、自分を何も考えない人形のような存在であろうとすることで、保ってきたのだろうか。
気持ちを支えてきたのは、例えば里山の四季を感じることであるとか、日々の作業で太陽の光を感じる気持ち良さであるとか、そういう普通の何気ない感覚だっただろう。
が、四肢を失った男を夫として受け入れるには、そんな普通の感覚だけでは足りず、ダルマのような夫に軍服を着せ、軍神と崇められている夫に尽くす勲功婦人として人々に称賛されなければならなかった。

ここまで打ってみたら面白いのである。
この作品。
だから、である。
戦争を絡めてしまったからこの作品は私の中で、ダメなのだ。

最初に日中戦争の映像(と、テロップが出たが)が出た時点でイヤだった。
途中の戦時中の映像もイヤだった。
玉音放送を最初から最後まで、全てを流さないのもイヤだった。
夫が中国?かアジアの国で行ったらしい、現地の女へのレイプの映像が、たびたび登場するのもイヤだった。
少尉と呼ばれていたが、陸軍士官学校を卒業していなさそうなのに、少尉になれるのだろうか?
そこは判らないが、そこまでの階級で、あんな馬鹿はないように思うのだが・・・・。
あとで贈られた称号かもしれないけれど、なんにせよ、ああいう馬鹿な行為にしても戦争中の非常事態であり、今でもどこかで日常的に行われている行為なのではないか。
そして極めつけは「死んだ女の子」の歌である。

これは、原爆で亡くなった子どもの気持ちを読んだ詩である。
何が何でも胸を打つ、ストレートな詩である。
戦いで亡くなっていく、小さな命に、心から手を合わせたいと思う詩である。

それを、若松監督のこの作品のエンドロールで流すのは許せない。
作品の内容とは、まるでかけ離れている。
戦争中の日本人って、こんなだったんだよー。
天皇陛下の写真なんか大事に飾って、こんなに誰もが虚しいのに、どうよ?
お国のため、お国のため、ってみーんな言ってたんだねー。
なんて、鼻で笑ってるような作品だ。
それも、これでもか!これでもか!と、まさに夫がアジアの女を凌辱したように映像で観客を凌辱しながら。

そのエンドロールに、平和でいてね、お願いね、と心からの願いを込めた詩が流れたのである。

もし、今、反戦と言うなら、あの頃の日本を言うよりむしろ中国じゃないか。
日本を題材にするのは、何も言わない相手だからじゃないだろうか。

若松監督が「あさま山荘への道」で描いていた、特定の何かから支配され、間違った方向へ進む集団の愚かしさ、その流れが今回も一貫していることはわかる。
だがしかし、不快な作品だった。
エンドロールで「死んだ女の子」を流さなければ、まだ許せたかもしれないが・・・・・・・・

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Re:キャタピラー ~映画~
2010年10月02日土

おお、素晴らしい感想!
あさま山荘が良くてコレがダメだった理由がわかりました。

Re:Re:キャタピラー ~映画~
おお、ながいけおやびん。
髪は伸びましたか?
2010/10/02 20:52

Re:キャタピラー ~映画~
2010年10月02日土

凄いなぁ、きっちり気持ちが書かれてて、それが私にはよく分かる。
確かに60〜70年前の日本は、何を言われても腹が立っても何も言えないんだよね。
反論出来ないんだよね。卑怯だよ。

Re:Re:キャタピラー ~映画~
卑怯ですよねー。
何年か前からドイツ映画がちらほら話題になりますが、自国の描き方を自虐的にはやってないですよね。
してる作品もあるんだろうか。
2010/10/06 08:13

Re:キャタピラー ~映画~
2010年10月03日日

お帰りなさーいharupyさん♪

卑怯。
ほんとに卑怯ですよねぇ。
私、あからさまに国旗掲揚しない、君が代を歌わない、なんてやってる人には何が望みなのか、どうしたいと思っているのかを尋ねたいです。
そんな話は一切しないじゃないですか。
批判してるだけ。

少し前の園遊会の時に、陛下に将棋の棋士の誰か(名前を忘れたけど)が「誰もが国旗掲揚、君が代を歌うようにしたい」と話したら、陛下が「それはその人が思うことだから」みたいな返答をされていたんです。

そういうこと、知ってるんだろうか???

聞け わだみつをの・・・
2010年10月06日水

中国と日本政府への批判を込め、
渋谷で大規模なデモがあったが
国内メディアは報道せずとか

首脳会議に中国語通訳が同行せず、
菅直人首相と中国の温家宝首相の会談が、
英語の通訳を交えて行われたとか

ばかちんが!!

Re:聞け わだみつをの・・・
BOWBOWBOW!(^◇^)

すごく妙なことになっています、日本。
国内も、対世界も。
それでもメディアは一切報道せず、何をしようとしてるのでしょう。

これ観て「おお!」って思えるような人たちこそが、実は軍国主義を後押ししたんじゃないかなぁ。。。素直にもほどがある。
あ、これは独り言ですから・・・
2010/10/06 23:32

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