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  • 11/25/18:30

12.16.21:30

百万円と苦虫女~映画~

蒼井優の蒼井優による蒼井優のための映画。
音楽はエンドロールの主題歌しかなく(『クラムボン』の原田郁子♪)、蒼井優は細くて白くて頼りない全身で所在なさげにそこにいて、淡々として・・・・
空や風を感じられる演出が素敵でした。
叙情的、といえるほどでもないところがいい。
ただの日常の中にある、ふっ・・・と物思いに耽ったときの感じ。
心地よかったです。

時折、弟の学校の様子が挿入されることと、旅先からの手紙がとても切ない。
ラストで一瞬「あーあ、これじゃあ陳腐に終わるよー」と思わせる場面があったのですが、かろうじて残ってくれたです。
すごく好きです、この作品。

蒼井優は・・・蒼井優はー・・・・とても良いです。
この人の今後はどうなっていくのでしょう。
今の彼女からは、この人が年を重ねていく、というイメージがちっとも湧かないです。
ずっと見ていたいけど、原節子のように頂点の美しいままで消えてほしいような、儚いというか、少女の面影を永遠に感じさせたままでいてほしいような、そんな気にさせる人なのです。

yu4.jpg











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12.16.21:20

西の魔女が死んだ~映画~

全体的に「包まれる」という雰囲気。

頬を包む両手
風がゆらすカーテン
手のひらの野いちご
野いちご畑にたたずむ
野原で寝ころぶ
森の中で膝を抱える少女 etc・・・

『赦す』ということ、『赦される』ということ、また、それをどうしても受け入れられず、感情のまま自身をさらすこと。

魔女修行には強い意志の力が必要なのだそうです。
しかし、どんなに素晴らしい魔女であってもたまには感情に流されて相手にそれをぶつけることもある。
そんな自分に素直に傷つく心を持つことは、きっと素敵なこと。
なぜなら、自分の弱さを知ったときにきっと、私たちは何かを学ぶのだと思うのです。

魂の本質は「成長したい」気持ちだから「体」を持つのだ、というセリフにはすごく共感しました。

音楽も良かった。
この主演のサチ・パーカーさんてシャーリー・マクレーンの娘さんだそうですね、似てないけど。
良かったです、彼女。
カタコト日本語の雰囲気が、すごく作品に合ってました。
てしまあおい(漢字変換できなかった)の歌もいい。

木々の香りや、葉っぱの匂い、湿った林の空気、ハーブを渡る風、灯かりのない星空、全てが優しくて、いつまでもあの中に浸っていたいと思える、素敵な作品でした。
ほんとに、大きな心・優しさに包まれる、って感じで、暖かい涙を流してきました。

nishino.jpg










12.16.17:15

トウキョウソナタ~映画~

リストラされたことを家族に言えない男。
主婦。
いまどきの青年である長男。
多感で真っ直ぐな次男。

この家族は父親を頂点に、昔ながらの「家族は父に守られ、母は家を守る」形をとっている。
父がリストラされたことを観客は知らされる。
すると、その一般的な家庭の形がひどく歪んで見えてくる。
なぜにこうも男は家族に虚勢を張らねばならず、主婦は何も言わずにそれを許さねばならないのか・・・・
そこまでして家族の形を守らねばならないのか・・・・

あの夜。
あの夜を過ごした両親と次男の朝、あのシーンの深さに戦慄するとともに、あ、だから家族なんだ・・・と納得せずにおれない。
次男のピアノはドビュッシーだそうです、有名な、よーく流れる曲です。ラフマニノフではなしに(~~;)

それにしても『主婦』
あんなにドロドロして汚くて切なくてやっかいな思いを経験できるなんて、絶対に素敵だ!
この作品の小泉今日子の気持ちに、ぴったり寄り添えた私は、案外めちゃめちゃ幸せ者だと思った。
夫と子ども、という手かせ足かせがあるからこその気持ち。
それ、ちょっと良くない?と、ほくそ笑んでみる・・・


と、ここまでは私の所属している映画サークルのフォーラムに書いた。

この作品で秀逸だったのは、主婦が「隠しもっているもの」の怖さである。
主婦って面白いですよ。
とてもドロドロしてるし、「夫が仕事中に事故にでも遭って死んでくれないかな。そしたら労災でるし」なんて話、フツーにやったりするのです。
コワイですね~~ウッシッシ

「誰か引っ張って」と手を伸ばす漠然とした何かへの不安と確実な寂しさは、濡れた床を拭きながらもう一度わざと窓を開けて濡れてみる気持ちと、ショッピングセンターで夫に遭った後に結んだ髪をほどいて車をオープンにして走る気持ちに繋がると思います。
要は、「日常から離れることのできるもの」に対しての、ちょっとしたきっかけです。

海に辿り着いたとき、女は既に全てを覚悟してるけど、男はできていない。
もちろんお互いに愛などなく、女にとっては「渡りに舟」でしかないけど。

男は女の覚悟に気付いたから、弱い自分の立場を守るためにも、曝さぬためにも夜が明ける前に女の前から逃げなければならなかった。
女にしてみたら、「あ~~あ・・・やっぱりね・・・・」ってなもんでしょうね。
夜明けとともに、どれどれ「日常」へ、もどりますか、、、、という彼女の気持ちも、ミョーに理解できました。

それぞれの夜を過ごした朝ごはん。
そしてピアノの演奏。
家族は一時再生したけれど、主婦は必ずどこかに同じ気持ちは残しているでしょう。

決して日常に退屈しているのではなく、そこから離れさせてくれるもの、を待っているのです。。。。

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