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  • 04/19/11:00

10.17.23:09

ホームレスの女

日曜日の朝、久しぶりにひとりで映画を観るために出掛けた。
ウチから大通りに出て右折し北に向かう。
道を曲がりながら、信号待ちをしているひとりの女を見た。
陽に焼けた肌に髪の毛がところどころ抜けおち、そろそろ寒くなってきたというのに半そでのシャツを着て、車輪のついたトランクのような荷物を引いている。
女がどんな暮らしをしているのか知らないが、清潔とは見えないそのいでたちから何となくホームレスかもしれないと私は思っている。
思っている、というのは、私はその女を5,6年前から同じあたりで見かけているからだ。
もっと前から女はいたかもしれない。

女を見掛けたのは久しぶりだった。
その日曜日は近くの小学校で運動会が開かれており、そうでなくても人通りのまばらな町はいつも以上に人がいない。
空は高くさわやかな秋晴れで、女のいる風景は寂しいくらいにとても爽やかだった。
どうしてか、懐かしい思いがした。
女が今でも陽に焼けた肌とところどころ髪の抜け落ちた頭をして、ささやかなトランクを引いて町を歩いていることが、なぜかとても嬉しかった。

その少し前、私は訪れた場所で人懐こい迷い犬に出会い、写真を撮ったすぐあとにその犬が保健所に連れて行かれたと知った。
迷い犬だと聞いたときに悪い予感はしていた。
面倒みきれないなら関わってはいけない。
そう知っているけれど、顔がとても不細工で可愛くないのにとても人懐こい犬だったので、つい写真を撮った。
犬は悪さをするでもなく、そこにいた。
あと少ししたら殺されるのだろうか。
やはり関わらなければ良かったと思った。

女は誰かに助けを求めているのだろうか。
何年も前から同じような姿で暑い日も、寒い日も町を歩いている。
ならば女は今のままの自分で、今のままの生活で良いのだろう。
尋ねたことはないが。
犬と違い女は人だから通報されないのだろうか。
それとも誰も声をかけないだけか。
町の中に存在する、周りからは異質に見えるもの。
それらが周りに何の迷惑もかけず、ただそこに存在しているのならば、そのままで良いと思う。
もしかするとそれらの方が私よりもマトモかもしれないし。

新興住宅地の暗がりのベンチでは、近くの進学校の高校生たちが身体を重ねて恋に没頭している。
「私はどんな考え方でも受け入れている」と、なぜか上から目線で嘘つき女がさけぶ。
彼らはみんな自分は普通だと言っていたっけ。
自分を顧みもせず。

今夜は少し寒い。
あの女はどこで眠るのだろう。
関わろうとは思わないが、私はあの女を見掛けるとホッとする。
それはただのわがままかもと自嘲する。
少し寒い夜。



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翳りゆく街・・
2011年10月25日火

自由なのは僕ら?
それとも彼女?

ふと「王子と乞食」っていう
おとぎ話を思い出した

Re:翳りゆく街・・
自由の定義でいれば、彼女でしょうねぇ。

私は顔見知りが増えるほど、自分の首を絞めているように感じるときがあります。
2011/10/30 19:50

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