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  • 11/29/05:11

12.05.22:40

母なる証明 ~映画~

~作品の中身に触れます~

hahanaru.jpgこの母子関係は娘と母親ではあり得ない。
街中で、様々な人々の中で暮らしながらもひどく閉鎖的で濃密な母と息子の暮らしは。
息子を見つめる母親の視線は、無償の愛というよりも息子の心も体も、再び自身の中に取り込もうとするかのようにエロティックに感じた。
それは昔観た、新藤兼人の母と息子の近親相姦の映画のように、一見異常に見えるものをとても当たり前に。

息子(ウォンビン)には少し知的な遅れがあるのだろう。
母親(キム・ヘジャ)は漢方薬を売りながら、たまにヤミの鍼灸を行いながら、息子とふたり細々と生活している。
彼女の生活の全ては息子に向けられている。
未来を望むわけでもなく、ただ、その日その時、息子を愛おしいと思うことだけで暮らしている。
ある日、女子高生が殺害され、息子が逮捕される。
母親は息子の無実をかたくなに信じ、自ら事件の真相を追っていく。

冒頭、枯れ草の野原を歩いてきた母親が、BGMに合わせて踊り始める。
ポン・ジュノ監督は観客に、まずこの母親が愚かな女であることを知らしめる。
この作品は、彼女がどう愚かであるか、その証明であったようにも思う。
その愚かしさは、母と息子だが女と男である、という異性関係でなければあり得ない。
お互いへの強烈な依存。
そこに何の躊躇も疑問もない。
息子の無実を信じる、のではなく、ひたすら息子を信じているのだ。
その事を、ただ「愚かだ」とは言えない。
なぜならそんな関係は、日常的に男女間で行われているから。
この母親は、たぶん息子を得るまでは、周り全ての男にたいして依存していたのだろう。
昔から知り合いらしい刑事や、息子の友人など、もしかすると彼らとは肉体関係もあったのではないだろうか?そう思わせた。
そして、当然のことながら息子とも。
ねっとりとした「女としての血」「女としての業」、この動物的なエロス。

母親の恋人から虐待を受けて命を落とす子どもたちがいる。
母親も一緒になって子どもを虐待する。
その依存しあっている男女関係と、この作品の母子関係には何ら違いはない。
事件が図らずも一件落着し、平穏を取り戻したようにみえる母と息子だが、
「悪い出来事を忘れるつぼ」に自ら鍼を打ち、そして踊り始める母親の姿からは、母であり、女である愚かさを感じた。
ポン・ジュノ監督の前2作から感じた、静かな景色の中の虚しさ、孤独感、それらが今回は物悲しいタンゴに合わせて踊る母親の姿から、痛いほど伝わってきた。
それは母親という姿を借りた、「女」だからこその寂しさのようなものだろうか。
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Re:母なる証明 ~映画~
2009年12月06日日

パンフレットで川本三郎も「かすかに近親相姦の匂いがする」と書いてますね。

母親をミステリに絡めて描いてよくできた作品と思いますけど、ミステリ部分に新機軸がないのが少し不満で、「殺人の追憶」や「グエムル」のような大傑作に比べると、少し落ちるかなという印象でした。

Re:Re:母なる証明 ~映画~
そうそうそうそう!
前2作がすこぶる良かったので、そのあたりは不満でしたー。

で、今村昌平じゃなくて新藤兼人の感違いでした!
書きなおしとこ・・・・
2009/12/06 11:15

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