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  • 11/25/06:20

09.17.00:01

裏切りのサーカス ~映画~

宮崎映画祭で何本か観たあと、2か月映画館に行くこともなく、山の中やら神社やら福岡やらパソコンの前やら・・・何やらやっておった。あ!京都にも行きましたで。鴨川の景色やら大文字焼きやら八坂神社やら平安神宮やら狂言やら見ましたで。
ああ、、、来月の携帯通話料がめちゃめちゃ怖い。
tinker.jpg
2か月ぶりの映画は「裏切りのサーカス」。
スパイもの、二重スパイもの、と聞くと私は小林麻美の「哀しみのスパイ」を思い出す。
モスクワから「ラフマニノフ」と電報を打つアレである。
「私を知らない」と言ってもらい、「あなたを知らない」と言って冷たくそらした瞳が悲しいアレである。
で、やはりというか、さすが麻美さまというか、ジョン・ル・カレは「哀しみのスパイ」を聴いていたんじゃ?と疑ってしまうほどリンクしてた。
でも調べてみたら「哀しみのスパイ」の方が後。
歌詞作ったユーミンは、読んでいたんじゃないだろうか。
でもPVの色合いは似ている。
トーマス・アルフレッドソン監督は、実は麻美さまのファンだったかもしれない(それはないと思うが)。

宮崎でも上映が終わったので、個人的にこっちでネタバレする。

ダークな色調の画面に登場する男男男・・・・
彼らは諜報機関に所属し、国益のための頭脳戦を繰り広げる。

国益のため。

そこが一番重要なのである。
出世とか名誉とか、個人の利益を絡めてしまうとこの作品は普通になってしまう。
二重スパイとして疑われていたスマイリー(ベガマン)と、ヘイドン(テイラー)の違いはそこにある。
冷徹なまでに国益に徹し自分の持つ全てを駒として動かし、結果、組織の長に昇り詰めるスマイリー。
魅力的な容姿を持ちスマートに仕事をこなしてきたように見えるヘイドンは、自分に対する自信が仇になる。
tinker2.jpg
伏龍はじっと池の底に身をひそめ、一気に天に昇る機会を待つ。
地味に仕事をこなし、同僚に妻を寝とられ、二重スパイあぶり出し作戦失敗の責任をとって引退を余儀なくされるスマイリーは、まさに伏龍である。
ひたすら国益のため、妻ですら密かに駒として使う。
決して誰にも悟られず。
そのために二重スパイの疑いもかけられるが、彼こそが誰よりも国に忠誠心を持ち、国益に殉じようとしている人物なのである。

外交とは、欲しくてたまらないものを、あげても良いものと折り合いをつけて交換することだと友人が言った。
スマイリーは諜報機関の中の優秀な「外交官」で、KGBの大物カーラも同じ。
「外交官」は交渉の意義を理解し、スマートに仲立ちをするのが役目。
馬鹿にはできない。
スマイリーの冷徹ぶりは気持ちよいほどである。

ゲイテイストも満載でドキドキさせてもらった。
コリン・ファースは相変わらず格好良い。
スマイリーの部下を演じたベネディクト・カンバーバッチも格好良かった。
ヘイドンを愛しながら暗殺するプリドーのマーク・ストロングの切ない瞳もセクシーだった。

ということでスマイリーのような人物が、今、日本にいたら上手い具合に中国とも交渉できるんじゃないだろうか。
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