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  • 03/28/21:30

01.08.18:35

寒い母

現在は廃版になってしまった斉藤隆介の『ベロ出しチョンマ』という童話集がある。
これは、タイトルの「ベロ出しチョンマ」から「花咲き山」「モチモチの木」「八郎」といった、斉藤隆介の珠玉の名作が納められている素晴らしい、まるでとっておきの宝箱のような童話集である。

chonma.jpg私が小学4年生のとき,担任の今吉先生が、この童話集の中からよく私たちに読み聞かせをしてくれた。
図画の時間に読書感想画を描かせる場合、まず「八郎」と「三コ」を話してきかせる時間があり、色々とディスカッションしたあとに私たちに描かせる。
または、道徳の時間に「なんむ一病息災」を読んでくれる。
国語の時間で教科書ではなく、「一ノ字鬼」を読んでくれる、そんな彼女との一年間だった。

なにより私が印象的だったのが一年間の最後に読んでくれた「寒い母」。
朝鮮に住むひとりの寡婦が、夜な夜な隣村の老爺の家に情事に通い、それを知った7人の息子たちが、母のために隣村との境界の川に飛び石を置き、それを知った母は誰かはわからないけれども飛び石を置いた人が死んだら天の星になりますように、と神さまに感謝する、というお話である。

いちおう童話集なので、情事といってもお互いの背中を掻き合う、というものであるが、それは幼い小学4年生の私にも何となく色っぽいことである、ということはわかった。

いまでも何故、今吉先生が一年間の最後にそのお話を私たちに読んで聞かせたのか?と考える。
寡婦の寂しさ、息子たちの母を思う気持ち、人間的な温かさ、愛の不思議。
10歳そこらの子どもたちに、それらを理解することは難しい。
しかし、このお話のおかげで、私は小さい頃から普通では読まないような、三島由紀夫や稲垣足穂や三浦綾子、吉行淳之介なども読むようになった。

私がちょっと変な人に成長したのも「寒い母」のせいである。

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