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  • 11/25/10:42

06.11.01:35

つきあってくれた

settupun2.jpg『接吻』のラストについての解釈を色んな人たちが話している。
何人か共通しているのは
「京子(小池栄子)は長谷川(仲村トオル)を愛しはじめていた」

『接吻』ネタバレしてます。

長谷川は京子に寄り添おうとしていた。
その気持ちをありがたいと感じながらも、京子は自分とは違う人間だと長谷川を見ている。
「たったひとりだけじゃ死刑にはならないんでしょ!」
そう叫びながら彼女は長谷川に向って行き、キスをする。

そのキスを私は儀式だと思ったけれど、彼を殺さずに生かしておいたことで、あの作品には未来への希望が少しだけ残っている。
京子は長谷川に心を許していくかもしれない。

どうしても私が長谷川への京子の愛を感じなかったのは、あれだけの孤独を抱えている人が、初めて自分に寄り添おうとしてくれた人に、恋愛感情を抱くか?という疑問からだ。
私だったら、という極個人的な意見だと、NOだ。
恋愛感情ではなく、家族愛とか、強い友情のようなもの、同志的な感情なら感じる。
私の場合だと、好きで好きでたまらない人がいて、その人に自分を否定されたり拒否されたときや、声をききたくてたまらないけど連絡もままならない、我慢しなければいけない、と自分を律するとき、または他の誰かからの心無いひとこと、態度などをみて、自分自身を理解してもらえない、と感じたときに孤独を感じるので、原因がハッキリしている意味で京子のものとは違う。

京子の場合は、随分と独りよがりだ。
上手に立ち回れない、自分の気持ちを外に出せない、だから友だちもいない、というのは自分自身の問題だし卑屈だ。
彼女はネットを利用してはいなかったけれど、もし利用していたら秋葉原での凶行に至った彼と、そう大差ないのではないか。
あの彼とも違うのは、京子は自分自身を理解してほしい、と周りにサインすら出していないこと。
頑なに「私のことを理解する人はいない」と、思いこんでいる。
孤独を感じる心は理解できるし共感するけれど、京子が感じている孤独は、あまりにも漠然としていて実体がない。

実体がないから恐ろしいし、寄り添えない。
長谷川にしても、始まりは職務から。
そのあとは同情か、興味か、なんとなくだが軒下に住みついてしまった子犬か子猫に餌をやるような気持ちに少し似ているかも・・・と思う。

そんな京子の自分勝手な気持ちに付き合わされた坂口(豊川悦司)にしてみたら迷惑な話。
しかし、かなり奇妙な怪我の功名だけれど、崖から飛び降りた先に大きな鷲の巣があって、母鷲がひなと間違えて餌をせっせと与えるような、そんな不思議な居心地の良さの中で、自分の犯した罪の大きさを感じるようになるのは皮肉だ。
しばらくすると、餌を運んでいた母鷲は、それが自分のひなではないことに気付く。
多分そうなるだろうこと、彼は知っていたはず。
京子の独りよがりな気持ちを受け入れていたのは、彼には失うものが何もないから。
自分とは違う人間性を感じながら付き合っていたのは、彼もまた「もう、何もかもどうでもいい」人間だったから。
勘違いでも自分を真剣に思ってくれた相手から殺されるなら、それ以上の幸せはない。本望だろう。

もし京子に寄り添ってくれたのが長谷川ではなく、新興宗教の人なら、彼女は強力な信者になるだろう。
あのような、自分は神に選ばれた特別な存在であるかのように勘違いしている人ならばなおさら。
彼女の孤独から感じた潔さのようなものは、自分でそうあろうと決めている、信じている姿から表れている。
実はひどく単純だからこそ彼女はあのあと、長谷川に心を開いていく可能性があるように思う。
彼女の長谷川への接吻は、自分以外の外の世界への最後の抵抗でもあり、扉でもある。

 

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Re:つきあってくれた
2009年06月11日木

すいません、45さんの感想はなんでみんなネタバレとかラストに触れてから始まるのですか?見てない自分は先に読みすすめんのですが…。

Re:Re:つきあってくれた
あははははーーーー

私の文才が、そこまで・・・なんですよう
2009/06/11 12:50

究極の愛、、
2009年06月11日木

少なくとも究極ではない

愛かといえば
それも怪しい

思い込みと勘違いによる共感
それは恋に近いもの

ハッピバースディを歌い
接吻をすることによって
愛に昇華したのかもしれないけれど

だから
落ちていったわけでもない

京子は
昇って行ったのだから

Re:究極の愛、、
あんなしててハッピーエンドなのかもしれませんよねぇ。
2009/06/11 12:51

Re:つきあってくれた
2009年06月11日木

男の心変わりが許せなかった女性。

自分と彼だけが共有できていた幸せを壊したもの・・・
それは、自分に相談することなく控訴を決めた(?)彼。
自分と彼の幸せを壊そうとする弁護士。

弁護士へのプレゼントという偽装で持ち込まれた刃物。
○凶器の持ち込みに弁護士が関与していたという事実
彼に続いて殺そうとそうとしたけれど、生き残ってしまった弁護士。
○このままでは、単なる被害者。でも接吻したことによって、弁護士の立場は・・・?

この2点だけでも、弁護士は世間から、社会から相当な糾弾を受けることは予想がつくはずです。ひょっとしたら「弁護士資格の剥奪」もあり得ることも予想がつくはずです。

「自分を裏切った者達への、切ない復習劇」だと単純な私は思いました。
「安珍清姫」のお話は、現代でもあるのです・・・(多分?)

Re:Re:つきあってくれた
安珍清姫がでてくるとは・・・色んなひとたちがそれぞれに考えられて面白いですねぇ。

私、やっぱりどうしても彼女の愛情は感じないんですよねぇ。
どっちの男に対しても。
坂口に対しての気持ちは恋愛感情とか愛情とかよりも、同志愛。
弁護士に対しては、なんの興味もないと私は思ってたんですが・・・ただ、別の世界の人が自分に興味持ってるらしいぞ、ぐらいで。
彼女にしてみたら、弁護士が何を言おうと何をやろうと、よその世界のことだから痛くも痒くもないんじゃないかと思います。
大切なのは殺人犯に対する彼女の思い込みだけで。

その殺人犯も自分と彼女との「孤独の違い」を感じていた。
彼女は少女とのブランコに象徴されるように、まだ「外の世界」との関わりを喜べる場所にいる。
殺人犯はその時、彼女よりも孤独な自分を悟ったから泣いた。

彼女が殺人犯を殺したのは、「彼はそうしてほしいと望んでいる」という思い込みから。
彼がそれを受け入れたのは、彼女がそう考えるだろうことを判っていたということと、自分自身への希望が初めからなかったから。

彼女も殺人犯も、絶対的な孤独を抱えていたけれど、お互いがそれぞれの孤独の違いにだんだんと気づいていきました。
彼女は彼に救いを求めていました。
同じマイノリティとして、彼に導きを求めていたのかもしれません。
それも、ふたりの明るい未来を見ていたのではなく、ふたり一緒に世間を笑いながら朽ちていく、ふたりで「あいつらとは違う世界へ行く」ために彼女の信じる高みへ昇っていこうとしていたのだと思います。

む~~~ん・・・
これをしゃべろ、って言われても無理だー
2009/06/11 21:45

Re:つきあってくれた
2009年06月11日木

いろいろ考えは巡るのだけど、「接吻」と付けられたタイトルが、どうしても私をあのシーンに拘らせるのです。
「自分以外の外の世界への最後の抵抗でもあり、扉でもある」この部分は至極同意します。

Re:Re:つきあってくれた
もうねぇ、この作品について話をすると、私のすーごくドロッドロした部分を出さないといけないからイヤです。。。
えーっ!あなた、普段からそんなこと考えてんのー!みたいなこと。
2009/06/12 00:09

Re:つきあってくれた
2009年06月15日月

京子の全ての原動力は、外に出せない怒りだ、と書いている人がいた。
そうかもしれん。

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