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  • 04/20/21:00

03.08.08:36

海炭市叙景 ~映画~

kaitan.jpg1987フォーラムに入れたものを少し補足しつつ・・・

心身ともに気力十分、気運上昇、元気が有り余ってもう大変ー、という時に観ないと辛い作品です。
良い作品を作ろう!と頑張ってる感があり、好感が持てます。
頑張ってる感が、いくつかの「やり過ぎだなー」と思える演出にもなっていたかもしれません。
あ、もうそれはいらなかったのにと思える場面がぽこぽこ出てきたのはもったいなかったです。
内容が重いので、「泣かせ」の演出はいらないと思いました。
でも悪くはないです。
あえて難を言えば、です。

雰囲気が韓国映画のようでありました。
この作品の暗さは何かに似てるなぁと、ずっと思っていたのですが、一番しっくりくるのがギドクやポン・ジュノ、ヤン・イクチュンの映画でした。
もしかすると北海道の人は日本という国に対する考え方が少し違うのかもしれません。
作品中にも「内地から来た」というセリフが確か、ありました。
物語の暗さや雰囲気の救いようのなさは、何か土着のものがあるのかもしれないと思いました。
そう思わないと納得いかないぐらいの暗さです。

内容は友人がドンピシャな解説をしてくれたので引用。
5つのエピソードの登場人物たちに共通するのは「推し量る」気持ち。
最初の男は子どもの頃、造船所の事故で両親?父親?を失ったが、船が好きだから自分も造船所で働いた。
寂れた街の中、兄妹たった二人で生きてきた。
古い工場だけど、大きな船を造り送り出すことがどんなに誇らしかったか。
リストラの波が自分たちに押し寄せても、自分が誇りを感じ大切にしているものや仲間を信じていた。
そこには彼が、何を失っても大切にしていた歴史や気持ちがあった。
それを誰が推し量ってくれるのだろう?
「そんなことじゃないだろう!」寡黙な彼が労組のリーダーに掴みかかって叫んだ言葉が物語ります。
わかってほしかった、わかっていると信じていた相手がわかっていなかった、その事に彼の気持ちは粉々に傷ついたのでしょう。

行政の若造に立ち退きをお願いされる老婆も同じ。
自分はずっとここに住んできた。
何もないけど歴史がある、ここで暮らしてきた、街の活性化など関係ない、ここに自分の暮らしがある、ただそれだけだ。
その気持ちを誰が推し量る?
誰もいない、何も言わず老婆にくっついている猫が側にいるだけ。

天体が好きで、ずっと変わらず誇りをもって仕事をしてきたのに、その慎ましさをつまらないと大好きな妻に罵倒された小林薫も、多分子どもの頃から家族に問題を抱え、父親から仕事を引き継ぎ、自分の手でもっと業績を上げたいともがく加瀬亮も。
夫から顧みられず精神を病んだ義母から虐待を受け、ひとりで布団の中で泣くしかない少年も。
誰もかれもがギリギリで、それでも普通の顔をして生活している。
誰からも気付かれなくても、気付いてくれたとしても手を差し伸べられなくても、どんなにギリギリでもそれが日常なんだと。

谷村美月の「日の出を見たら私たちは、あの場所に戻るのだ。」というセリフが全てです。
どんな出来事があっても変わらず日常は流れていく。
「そして船(日常)はいく」というフレーズを何年も前に読んで、それ以来強烈に覚えているのですが、「やり過ぎだなぁ」と感じた連絡船と巡視艇がすれ違うシーンを観て、そのフレーズを思いました。

やり過ぎだと思ういくつかの場面や、ネコは救われても人間は救われない内容はさておき、映画としては良かったと思います。
連絡船からの函館の景色は絶海の孤島のようでした。
書きかけのメモをポケットから取り出して振り返る事務員さん、あのシーンは良かったなぁ・・・

とにかく、それはそれは重く暗いお話しでした。

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