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  • 11/29/08:09

03.01.17:34

きみの友だち~映画~

去年、大騒ぎしていたにも関わらずあまり感想を書いていなかった。
気持ちが入りすぎていて書けなかった、というのが本音である。
しかし去年は邦画が豊作で、素晴らしい作品が数多くあったにも関わらず、悪い作品ではないがアカデミー賞のために「おくりびと」が再評価されている現状に物申したくなった。


kiminotomodativr2.jpg足に障害を持つ恵美と、腎臓に病気を抱える由香。
小学5年生のふたりは、大縄跳び大会のグループ分けで「飛べないから」という理由で縄回しの係になる。
クラスの輪からハズされた形のふたりだったが、それはお互い運命と言ってもようような「友だち」との出会いだった。
二人はただ、自然にふたりだった。
歩く速さが似ている、それだけの理由で。
趣味が合うわけでもなく、考え方が似てるわけでもなく、ただ一緒にいたいからふたりでいた。

そんなふたりの周りにいる、たくさんの少年、少女。
彼らはそれぞれに友だちのことで傷つき、悩んでいる。
そんなとき、いつもぽつん、と二人でいる恵美と由香に尋ねる。
「友だち、いっぱいほしくないの?」
由香は
「私は恵美ちゃんといっぱい一緒にいたい」
と、答え、恵美は
「私は『みんな』なんて信じない。一生忘れない友だちがひとり、いればいい」
と言う。
そう言い切れるだけのふたりの結びつきを知ったとき、彼らは自分たちの弱さを知り、そして「友だち」の意味を考えるのだ。


映画ではかなりの長回しの手法が使われている。
それも、カメラは遠まきに出演者たちをとらえている。
演技しているのか、どのような表情をしているのかさえわからないほど。
セリフとセリフの間も、かなりある。
それがひどくもどかしいのだが、そこがこの作品の良さになっている。
なぜなら友だち同士の会話なんて、思ったことをそのままスラスラ話せるものではない。
ここでこう言いたいのにタイミングはずしちゃった・・・ああ、もっとちゃんと伝えたかった・・・
いつだってそんなことばかりではないか。

出演者たちを遠くからとらえるカメラも、つまりはそこにぽつん、と存在している彼らの小ささや、あまりにもありふれた日常、を表しているように思う。
最後の最後に大人になった恵美を高いところからとらえたカメラだけが、「もこもこ雲になった由香ちゃんからの視線」という意味を持っていたのではないか。

『当たり前すぎる。だけどわかる。とっても温かくて切ない気持ち』
この作品に流れているのはそんな思いだ。
ささやかすぎて、通りすぎてしまいそうな。
だけど、きっと誰もが本当は忘れてほしくない、気づいてほしい、と心から願っている思い。
ハッキリと口に出すのは照れるけど、だけどたまにはいいよね!と、全身でそう言ってるように見える。
ただしとても控え目に、もじもじしながら・・・・

出演者の石橋杏奈、北浦愛、吉高由里子もなんとはなしにいい。
男の子たちのエピソードが個人的には好きだった。
あの堤防に寝転がった3人の男の子たち、あのシーンの優しさは秀逸。

bakushi1.jpgいつかこの作品を目にする機会があれば是非、観てください。
廣木隆一監督は地味だけど秀作を撮る監督です。
埋もれさせるにはもったいなさすぎる作品でした。


ちなみにこれ←は廣木監督の撮ったドキュメンタリー。
読んで名の如く、SM撮影の縛師のお話だそうです・・・
観たい・・・・・



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