11.26.08:41 [PR] |
03.26.00:12 ひとつずつの そしてひとつの |
時はすべてを連れていくものらしい
なのにどうして寂しさを置き忘れていくの
いくつになれば人懐かしさを
うまく捨てられるようになるの
難しいこと望んじゃいない
有り得ないこと望んじゃいない
時よ最後に残してくれるなら
寂しさのぶんだけ愚かさをください
おまえとわたしはたとえば二隻の舟
暗い海を渡っていくひとつひとつの舟
互いの姿は波に隔てられていても
同じ歌を歌いながらいく二隻の舟
時流を泳ぐ海鳥たちは
むごい摂理をささやくばかり
いつかちぎれる絆みたさに
高く高く高く
敢えなく私が波に砕ける日には
どこかでおまえの舟がかすかにきしむだろう
それだけのことで私は海をゆけるよ
たとえ舫い綱は切れて嵐にのまれても
きこえてくるよどんな時も
おまえの悲鳴が胸にきこえてくるよ
越えてゆけと叫ぶ声がゆくてを照らす
難しいこと望んじゃいない
有り得ないこと望んじゃいないのに
風は強く波は高く闇は深く星もみえない
風は強く波は高く暗い海は果てるともなく
風の中で波の中でたかが愛は木の葉のように
わたしたちは二隻の舟ひとつずつのそしてひとつの
わたしたちは二隻の舟ひとつずつのそしてひとつの
わたしたちは二隻の舟
中島みゆき「二隻の舟」
PR
- トラックバックURLはこちら